ケーブル製造大手の仏ネクサンスは10月13日、クリストファー・ゲランCEOが退任し、同日付でジュリアン・ユベール氏がCEOに昇格すると発表した。ゲランCEO は31日付でネクサンスを退社する。同日付では、7月末に退任を予告していたジュリアールCFOも退社する。市場は突然のCEO交代発表に動揺し、ネクサンスの株価は同日終値で8.6%の下落を記録した。
ゲランCEOは、ネクサンスの立て直しを期して2018年に就任。電力関連事業を主力に据えた巻き返しが奏功し、同社株価は就任以来で4倍増を記録していた。ネクサンスの取締役会は円満退社であることを強調、ゲランCEOも、従来の戦略の継続を確実に、また迅速に進めるために経営をバトンタッチすると説明している。
ユベール新CEOは55歳。欧州における「PWRグリッド&コネクト」事業の責任者を務めている。この事業はネクサンスの年商の4割近くを稼いでいる主力事業部門となっている。ユベール氏はコカ・コーラに勤務後、2002年にネクサンスに入社し、ゲランCEOが就任した数ヵ月後の2018年に執行役に就任していた。アジア通であることも選任の決め手になったという。
ネクサンスはケーブル製造における欧州第2位で、現在の時価総額は50億ユーロに上る。ただし、欧州最大手の伊プリズミアンの263億ユーロと比べると差は大きい。最大株主であるチリのLuksic一族が9.2%、公的投資銀行のBPIフランスが5.2%を保有するが、株主構成は大きく分散されている。足元の懸念材料としては、2023年に獲得したギリシャ・キプロス間国際連系送電線向け製品供給契約(14億ユーロ)が、地政学的要因により取り消されるリスクがあることで、その場合には、営業利益が6%消失し、多大な在庫が積み上がることになる。