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鉄道通信ケーブル放火で高速鉄道運行に大きな支障、極左系のサボタージュか

リヨン市南方に位置するバランス市(ドローム県)付近で10月27日未明、鉄道用の通信ケーブルが放火される事件があった。この影響で、27日にこの地方の高速鉄道(TGV)及びローカル線(TER)の運行に大幅な支障が発生し、6万人程度の旅客に影響が出た。

バランスTGV駅から南方に出る線路脇の通信ケーブルの結節点が放火の被害を受けた。16本のケーブルが25メートルに渡り破損した。その影響で、リヨンからアビニョンまでの高速鉄道専用線路が27日朝より全面不通となり、アビニョン以南の路線でも影響が波及した。国鉄SNCFは、在来線路を経由した運行に切り替えるなどして役務の確保に努めたが、100便程度のTGVにキャンセル又は遅れが生じ、ローカル線の運行にも影響が出た。当局によると、28日には朝から平常通りの運行が確保されているという。

事件の背後関係は今のところ不明だが、過激派によるサボタージュの可能性も浮上している。27日未明にはこれより前、犯行現場があったサンマルセルレバランス市内で別の放火事件が発生。そちらの事件は、高速道路A7の工事現場に骨材を供給している砕石所で発生しており、同じグループによる犯行である可能性が取り沙汰されている。高速道路A7の建設計画は環境派による反対運動の対象となっており、今回の一連の事件が、極左または環境過激派による計画的犯行であるという見方で、この種の活動の本場であるグルノーブル地方に近い場所で事件が発生している点も、こうした疑いを強める材料となっている。

鉄道を狙ったサボタージュでは、パリ五輪の開幕日直前に発生した事件が記憶に新しい。また、鉄道網は、価格が高騰している銅を狙った電線盗難事件の頻繁な対象ともなっている。当局と鉄道部門は、年間数億ユーロをセキュリティ対策に投じているが、全長2万8000kmの鉄道網全域を常時、くまなく防護することはできないとタバロ 運輸相も認めている。

KSM News and Research