仏政府は11月5日、中国のファストファッション大手SHEINのECサイトの操業停止を求める手続きに着手したと発表した。違法製品が販売されていた事実を重く見て、踏み込んだ対策を実施する。
SHEINは折しも、同日に、百貨店BHVのパリ本店内に実店舗をオープン。SHEINの店舗展開は世界でもこれが初めてというが、SHEINの台頭を快く思わないアパレル業界を含めて、SHEIN批判の声が各方面から上がっている。前日までに、SHEINのマーケットプレイス上で幼児性愛的なラブドールが販売されていた問題が大きく取り上げられ、さらに5日午前には、武器(ナックルダスター、刃物)が販売されていることも判明し、政府は同日午後に厳しい対応を決めて発表した。
政府はまず、コンプライアンスの完全遵守を達成するまでの間、SHEINのECサイトを営業停止とする方針を発表。DGCCRF(経済省下の消費者保護機関)を通じて違反事案の網羅的通告を行い、所定の反論の機会(24時間以内)をSHEINに与えた上で、処分(検索結果における表示の禁止からサイトの接続中断まで、違反の軽重に応じて決定)を決める。これと並行して、組織的かつ繰り返しの違反があったことに鑑み、内務省が一連の違反案件について捜査を行うことも決めた。また、欧州連合(EU)レベルでの対応を可能にする目的で、欧州委員会に対して検討を求める手続きも開始した。
SHEINの側では、沈静化を狙って、フランスにおいてマーケットプレイスの提供を中断することを決めていたが、政府の発表で先を越された感がある。SHEINのフランス子会社は、コンプライアンス遵守で努力する姿勢を再確認し、嵐を乗り切る構えともみえる。