英化学大手イネオスは、仏マルセイユ近郊のラベラ石油化学プラントに2億5000万ユーロを投資する。スチームクラッキング施設のグレードアップを図る。
欧州の化学産業はアジア競合などとの競争に晒されており、エネルギー価格の高騰など逆風の中にある。その中でイネオスは強気の投資戦略を維持している。今回の投資は、ラベラ拠点のカーボンフットプリントや効率性の改善を目的に、2025年から2026年にかけて行われる。フランス政府も、公的投資銀行BPIフランスの輸出信用事業を通じて投資計画を支援。イネオスが仏BNPパリバ及びオランダのINGの2銀行から得る融資の半額に保証を与えた。
ラベラ拠点には2000人が勤務している。同拠点は去る9月に保守作業のため操業を中断したが、これを機会にグレードアップの作業を進める。操業中断は1月まで継続される。同拠点はスチームクラッキングによりエチレン及びプロピレンを製造するが、イネオスは、その下流でポリエチレンを製造するサラルブ拠点(ロレーヌ地方)の改修も、2億5000万ユーロの投資計画の枠内で実施する。 イネオスはこのほか、ベルギーのアントウェルペンに新規のエタンクラッカーを整備する計画を進めており、こちらは40億ユーロと巨額のプロジェクトとなるが、環境派の反対運動などもあって実現が遅れている。イネオスは、米中などと比べて欧州が厳しい規制の下で競争力を削がれていると主張し、炭素課税などの見直しを要求している。