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サルコジ元大統領、「ビグマリオン」事件の有罪が最高裁で確定

最高裁は11月25日、サルコジ元大統領の上告を退け、選挙法違反で下級審のパリ高裁が下した有罪判決を追認した。元大統領にとって2件目の有罪判決の確定となった。

この事件は、再選を狙って立候補して敗れた2012年の大統領選挙のキャンペーンにおいて、サルコジ氏の陣営が、選挙資金の法定上限(2250万ユーロ)を超過する4300万ユーロの資金を投入しておきながら、これを、党が別途行った選挙とは関係がない活動の費用であると偽装したというもので、偽装に協力した広報会社の名前をとって、「ビグマリオン事件」と呼ばれている。3人の党関係者が不正の責任を問われて有罪判決を受け、サルコジ元大統領については、不正の受益者として有罪認定された。パリ高裁は、下級審の判決(禁固1年)をやや軽くして、禁固1年のうち6ヵ月分を執行猶予付きとしていた。その有罪判決を最高裁はそのまま確定した。

サルコジ元大統領の弁護団は、不当な判決であるが、元大統領は裁判所の決定に従うと発表。元大統領は、最初の有罪判決確定の事件である通称ビスミュート事件(自身に関係する捜査情報の融通を求めて検察官に便宜を図ると約束した)の時と同様に、欧州人権裁判所に国を相手取った訴えを起こす考えとみられるが、そのような提訴は判決の執行を妨げるものではない。この事件では、6ヵ月の実刑部分について、発信機装着を義務付けて移動制限付きの監視下に置かれることになり、近くその執行が開始されることになる。ちなみに、ビスミュート事件でも同様に、今年の2-5月の3ヵ月間に渡り、元大統領は発信機を装着して在宅にて刑期を過ごした。 サルコジ元大統領は別の事件(リビアのカダフィ政権から不正資金の獲得を画策した疑い)で第1審有罪判決(禁固5年)を受け、裁判所の拘置決定を受けて3週間に渡りパリのサンテ刑務所に収容され、去る11月10日に仮釈放されたばかりだが、元大統領は収監中の手記という名目で新著「ある囚人の日記」を釈放1ヵ月後となる12月10日に刊行すると予告。左派系日刊紙のリベラシオンは、ネット上で公開された抜粋の中に、「砂漠にも似て、心の中にある命は牢獄の中で強くなる」という破格の文章(「砂漠におけるのと同様に」という風に、比喩の対象である「牢獄の中で」と同じレベルに揃えないとちぐはぐになる)を見つけ出して揶揄しているが、元大統領はもとより細かいことを気にするタイプではない。牢獄が厳しいあまりに言葉が歪む、という高度な演出、というのはまあないだろうが、もとより、3週間の獄中修行で名文家になれるなら苦労はない。ボルテールだって1年近くバスチーユにぶち込まれて偉大な文人になったのだ。

KSM News and Research