アルザス地方のチョコレート菓子メーカー、メゾン・アブテ(Maison Abtey)は、チョコレート代替製品の本格的な販売に乗り出した。ショビバ(ChoViva)ブランドの板チョコを12月15日から、食品小売大手カルフールを通じて全国的に販売する。
チョコレート代替品の製造技術は、独ベンチャー企業Planet A Foodsが開発した。ブドウの種と、焙煎したヒマワリの種を主な原料として、カカオ豆を用いないでミルクチョコレートに類似した製品を製造する。アブテはこの技術を導入し、加工段階での工夫で、通常のチョコレートに近い液性やテクスチュアなどを実現した。カルフールが独占契約にて販売するのは100gの板チョコで、小売価格は全店1.99ユーロに統一される。昨今のカカオ豆の値上がりを考慮すると、ごく競争力の高い価格設定となる。
アブテは従業員数142人。チョコレート菓子のメーカーにとって書き入れ時である復活祭に、今年はこの代替チョコレートエッグなどを出荷して予想以上の成功を収めた。カルフールはこれを踏まえて定番商品の取り扱いを決めた。「ショビバ」では通常のチョコレートに比べてコストが25-30%安い。チョコレート大手のバリーカレボーもPlanet A Foodsと契約を結び、製品開発に乗り出した。現在、カカオ豆の取引価格は2015-22年の平均と比べると2倍も高いが、今年に入ってからは、主要生産国であるコートジボワールでの生産回復の見込みなどを反映して目立って低下傾向にある。それでも、長期的に気候変動の影響が様々に出るのは避け難く、代替チョコレートには消費者に環境配慮をアピールできる利点もある。