欧州連合(EU)理事会は12月19日、デジタルユーロの導入に関する主要な規制案に関して合意に達した。デジタルユーロの設計と機能をめぐって、いくつかの点が明確になった。
EU議長国を務めるデンマークのローセ経済相は、「デジタルユーロは、より強靭で競争力のある欧州の決済システムに向けた重要な一歩であり、欧州の戦略的自律性と経済安全保障、さらにはユーロの国際的な役割の強化に資する」と述べ、合意を歓迎した。
EU理事会は、デジタルユーロをオンラインとオフラインの両方で使用できるようにすることで合意。また、決済サービスプロバイダーの料金体系など、いくつかの技術的側面も明確化された。例えば、最低5年間の移行期間中には、インターチェンジ手数料や加盟手数料は、競合する決済手段の手数料並みの水準を上限とすることが取り決められた。
デジタルユーロは、欧州中央銀行(ECB)が欧州の主権確保の観点から進めているプロジェクト。今後、2026年半ばに欧州議会で審議された後、欧州議会とEU理事会、欧州委員会の三者間協議を経て、最終的に採択されることになる。ECBは2027年に試験導入を開始し、2029年に発行することを目指している。
しかし、デジタルユーロの導入には反対意見も多い。理事会は、デジタルユーロは国内および国際的な民間決済手段と共存することになるとしているが、金融業界はデジタルユーロを直接の競合相手とみなしている。仏大手銀行クレディミュチュエルのバールCEOは、「デジタルユーロは市民のいかなるニーズにも応えるものではない」と強く批判している。
銀行は預金を吸い上げられることを特に危惧している。ただし、理事会で合意された文書では、デジタルユーロが価値貯蔵手段として使用され、金融安定性に影響を及ぼすのを防ぐために、デジタル口座とデジタルウォレットで同時に保有できるデジタルユーロの総額に上限を設けることが予定されている。
デジタルユーロの推進派は、米国の大手カード会社や巨大テック企業が支配的な市場において、デジタルユーロは欧州が決済主権を確保する上で不可欠だと主張している。Visaとマスターカードの2社だけで欧州のカード決済の70%以上を占めており、ECBはEU域外のプロバイダーに対する依存を低減させることが急務だと考えている。当局は、大半が米ドルに連動するステーブルコインの台頭にも懸念を抱いている。
しかし、デジタルユーロには一般の人々にあまり人気がないという問題もある。その背景には、特に取引の監視や現金の消滅をめぐる陰謀論がある。この点に関して、EU理事会の提案では、ユーロ圏全体で決済手段としての現金の受け入れを確保し、人々の現金へのアクセスを保証することも目的とされており、小売店やサービス提供者による現金支払い拒否を原則禁止する方針が示されている。