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欧州議会、EUメルコスール自由貿易協定の批准を延期:欧州司法裁に判断を請求

欧州議会は1月21日、欧州連合(EU)とメルコスール(南米南部共同市場)との間で調印された自由貿易協定について、欧州司法裁判所に対して適法性審査を求める決議案を採択した。協定の欧州議会による批准が18ヵ月以上遅れることになった。

決議案は、左派及び右派の有志議員150人弱が共同で提出。賛成334、反対324、棄権11の僅差にて採択された。別に、極右議員らによる同様の趣向の決議案も提出されたが、こちらは反対多数で否決された。

決議は、協定が通商に関する部分と協力に関する部分に分かれていることの適法性、メルコスール側の当事国が、EU加盟国が行う国内法令の改正により協定の内容が毀損されると判断した場合に行える異議申し立ての仕組みが、加盟国の権利を侵害するものである疑い、「予防の原則」の適用を協定が侵害する疑い、の3点について、欧州司法裁判所に判断を求めている。協定の調印に最後まで反対していたフランス政府は、欧州議会の決定を歓迎。フランス政府に働きかけて、21日には欧州議会のあるストラスブールに集まって抗議行動を展開していた農民団体FNSEAなども、猶予を得たことを歓迎しつつ、批准阻止に向けて圧力行使を続ける姿勢を示した。

協定推進派のドイツのメルツ首相は、今回の議決について、地政学上の状況を無視した残念な決定だと批判。トランプ米政権の動きでマルチラテラル主義がゆすぶられる中で、メルコスールとの協定の実施は対抗策になるとの持論をにじませ、暫定的な発効を決めるよう呼びかけた。VCI(化学)やVDMA(機械)など、協定により輸出拡大を見込めるドイツの産別業界団体も批准延期を批判した。 欧州司法裁判所が判断を示すまでには18ヵ月以上が必要とみられる。それより早く暫定的な発効に踏み切ることは可能で、通商合意の部分について、メルコスール側の調印国のうち1ヵ国が議会で批准を終えた時点で、欧州連合(EU)が暫定的発効を決めることができる。そのためには、加盟国からなるEU理事会における承認が必要で、欧州委員会としてその手続きに着手することは、波風を立てることを覚悟の上での選択になる。

KSM News and Research