アラブ世界研究所(IMA)は2月17日に臨時理事会を開き、エプスタイン文書絡みで辞任したジャック・ラング所長の後任として、アンヌクレール・ルジャンドル氏を指名した。この人選は、IMAに協力するアラブ諸国22ヵ国の代表からなる高等評議会により直ちに承認された。
アンヌクレール・ルジャンドル氏は46歳。INALCO(国立東洋言語文化学院)の出身で、アラビア語に堪能で、外交官として活躍。2021年から2023年まで外務省報道官を務め、同年12月以降はマクロン大統領の外交顧問(北アフリカ・中東担当)を務めている。フランスによるパレスチナ国家承認に尽力し、関係諸国との調整に貢献したといわれる。IMAの所長に女性が就任するのは、発足から40年近くを経て今回が初めて。
IMAは仏外務省を監督官庁とし、アラブ諸国が共同出資する形で運営されている。任命権は大統領に属し、大統領は、最近の一連の人事と同様に、ここでも自らに近い人物を起用した。指名の前日に、バロ外相はルジャンドル氏と会談した上で、就任時の年齢制限(64歳を上限とする)を定め、また、IMAの監査を実施することを決めた。なお、ラング前所長は2023年に83歳で再任を認められていた。
出資者であるアラブ諸国からの資金が減ったこともあり、IMAの収支は構造的に赤字で、近年では、他の組織(ルーブル美術館アラビア美術部やアブダビとの協力、イスラム文化研究所など)にお株を奪われる局面も目立つ。INALCOなど教育・研究機関との協力関係も不十分で、新所長が取り組むべき課題は多い。
ジャック・ラング前所長を巡っては、16日にもIMA本部など数ヵ所で、PNF(金融犯罪全国管区検事局)による捜索が行われた。前所長は、エプスタインから資金を得るに当たり不正があった疑いで追及を受けているが、疑いは一切根拠がないと主張している。