英国で5月7日に統一地方選挙の投開票が行われた。スターマー首相の労働党が記録的な大敗を喫した。スターマー首相は辞任する可能性を否定した。
選挙は、イングランド、スコットランド、ウェールズで行われた。ウェールズでは、1999年に創設の州議会において、労働党はこれまで一貫して第1党の地位を守ってきたが、今回は、全96議席のうちわずか9議席を獲得するにとどまり、惨敗となった。左派ナショナリストのPlaid Cymruが43議席を獲得して第1党となり、ファラージ党首が率いる極右政党リフォームUKは34議席を獲得して躍進した。スコットランド州議会では、独立派政党のスコットランド国民党(SNP)が第1党の地位を守ったが、全129議席中57議席となり、過半数を失った。労働党は3議席減の17議席に後退。リフォームUKは15議席を獲得した。イングランドでは、全体で136市にて選挙が行われ、合計で5000人余りの議員が改選されたが、リフォームUKは1426人が当選して1位となり、労働党は954人にとどまり、大幅に後退した。
経済の不振に加えて足元で物価上昇が目立ち、政府与党にとっては逆風の中での選挙となった。エプスタイン事件絡みの醜聞の渦中にあるマンデルソン氏への過去の処遇を巡り、スターマー首相が個人的に批判の矢面に立たされていることも響いた。スターマー首相は、「極めて厳しい」選挙結果だと認め、その責任は自らにあるとも述べたが、「国を混乱に陥れる」わけにはゆかないとして辞任する可能性を否定し、約束した変化を実現するために不退転の決意で臨むと説明した。労働党内にも首相に対する不満の声が広がっているが、今のところ有望なリーダーも見当たらないことから、当面はスターマー首相が続投する以外の選択肢はないものとみられている。
スターマー政権への不満と批判票は専ら、リフォームUKが吸い上げている。イングランド北部とミッドランズを含めて、労働党の牙城として知られる地方でもリフォームUKは躍進。また、保守党が強いイングランド東部でも、リフォームUKの伸張が見受けられた。エセックス、サフォーク、ヘイバリング(ロンドン北東部に位置するロンドン自治区)など、13の自治体を掌握することに成功した。他方、イングランドにおける保守党の獲得議席数は772議席にとどまり、前回選挙から552議席の減少を記録。自由民主党(中道)は逆に152議席増の832議席となり、保守党は追い抜かれた。従来の二大政党の構図が完全に過去のものになったという見方もある。