仏航空管制部門の問題点を指摘する声が高まっている。6月24日に発表された上院報告書に続いて、7月5日には会計検査院の報告書が公表された。
いずれの報告書も、仏航空管制の業績が欧州諸国中でも低く、遅延の発生などを招いていると問題視。その原因の一つとして、硬直した勤務体制や人事管理を挙げて、改善を勧告する内容となっている。 フランスの航空管制部門は、エコロジー移行省下のDGAC(民間航空総局)の指揮下で運営されている。DGACの職員数は1万人だが、うち4000人が管制官で、公務員資格を有する。公務員部門中では、退職直前時の報酬水準が月額1万ユーロ程度と最も高い部類に属し、勤務体制は、2日に1日の勤務(年間1420時間)と少ない。たくさんの人々の命を預かる責任ある仕事として、就労条件や報酬面で厚遇されるのは当然としても、一連の報告書は、そうした待遇について定めた労使協約が業績向上をもたらす土台にはなっていないことを問題視。特に直近の協約においては、16%の報酬引き上げが盛り込まれ、費用負担は跳ね上がったが、業績は振るわず、フランスは2025年には欧州諸国中で、遅延時間累計で最も航空管制の業績が劣る国となった。会計検査院の報告書は、管制官の欠勤が多いことなども指摘した上で、12項目の改善を勧告。最低限サービスの保障(予定されている輸送量の65%以上を確保)、業績連動型の手当の導入、勤務体制の見直し(チームで行うという原則を見直し、チームの成員数も削減する)、新技術導入の投資の拡大、さらに、航空管制官の公務員身分の廃止などを勧告した。これらの改善には労組が強く反発するのは不可避で、実現に向けた道は険しい。DGACの指導層からは、改善に向けた努力が実を結びつつある中で、こうした報告書の公表は局内の動揺を招いてかえって逆効果だとする声も聞かれる。