イタリア北部のワイン産地でも気候変動の影響は拡大している。2026年の収穫はむしろ良好だったが、ワイン消費の減退も手伝い、在庫の膨張が悩みの種となっている。
ピエモンテ州アスティ県のアリアーノ・テルメ(バルベーラ・ダスティ)では、今年は7月末に収穫を開始。これまでにない早い時期の収穫となった。この夏は、平均気温が21.6度、最高気温が8月初頭に40度と、やはり前例のない高温を記録したが、今年は冬季と初春に降水が多く、気温上昇の影響を乗り越えることができた。のみならず、収穫直前の猛暑はぶどうの成熟にとって好都合だった。
「バルベーラ・ダスティ」銘柄のぶどう畑は、ワイン消費の減退を背景に、生産の抑制にも取り組んでおり、1ヘクタール当たりの収量を今年は9トンから8.5トンに削減した。イタリア全体では、ワインの在庫は7月末時点で1年前から6.9%増加しており、在庫水準は56億本強と、1年分近くの生産量にまで達している。この水準は4年来で最大であり、在庫のだぶつきを背景に、価格は1年間で10%の低下を記録している。流行の発泡酒プロセッコも在庫水準は高いが国内販売・輸出ともに順調であるのに対して、トスカーナやプーリアの赤ワインは苦戦している。減反の動きも出ているが、アリアーノ・テルメでは、ぶどう畑は文化と歴史の一部であり、根なし草にはなれない、と強く反対している。オーガニックワインへの注力で北欧諸国への輸出を拡大するなど、販路の確保にも努力している。気候変動はワインの味にも影響を及ぼしている。バルベーラ・ダスティは伝統的には「サクランボとプルーン」の香りに近かったが、これが「ブラックベリーとカシス」の方に傾いてきているという。