コニャックがAOC(原産地統制銘柄)指定獲得から90年目を迎えた。業界はかつてない厳しい状況を迎えている。
コニャックの出荷量は2022年以来で40%の減少を記録。中国製EVを巡る欧州連合(EU)と中国の対立を背景に、中国政府が一時、コニャック等ブランデーを制裁の標的に据えたという軋轢があり、減少分の半分程度は対中輸出の後退に由来している。
マクロン大統領は対中輸出の目減り分を補償すると約束していたが、業界はその約束が守られていないと失望している。2026年に入ってからは、ヘネシー(LVMH傘下)やレミコアントローなど大手のコニャック販売は回復の兆しを見せているが、40%という後退分を回復するには、順調に回復したとしても長い時間がかかる。
コニャックの出荷は2025年に1億4100万本、売上高は22億ユーロ(2022年には39億ユーロ)だった。需要後退を受けて業界は生産調整に取り組んでいる。コニャック業界では、ぶどう栽培農家、蒸留所、そして熟成と販売に当たるネゴシアンという3種の当事者の分業体制が300年続いており、現在の雇用数は間接雇用を含めて7万人に上る。生産調整では軋轢もあり、ネゴシアンのSazerac(米国資本)が、70のぶどう農家との契約を2023年に解除し、うち45農家との間で係争になり、裁判所が契約期間(4年間)を全うするようSazeracに命じるという一件があった(現在控訴中)。ぶどう農家は家族経営で4400者を数える。9万ヘクタールのうち1万-1万5000ヘクタールを減らすという取り決めがなされたが、あまり進んでいない。業界団体BNICは、去る1月に、国が約束した1ヘクタール当たり4000ユーロという奨励金に6000ユーロを上乗せして、減反希望者を呼び込んだが、530ヘクタールの申請が得られたのみだった。農家の抵抗に配慮し、5年後には再度植え付けを認めるという条件で、この夏に再度、呼び込みを行ったが、これには900の農家から合計2154ヘクタール分の申請があった。このほか、今後に申請をする用意があるとの回答も、合計で1800ヘクタールに上った。ただ、この実行の財源は、国が約束した補償に依存しており、業界は政府の対応の遅さに不満を募らせている。
生産段階での調整では、蒸留対象から外されるぶどう畑が、2023年の800ヘクタールから、今年には8000ヘクタールに増えた。ぶどうはコニャックではなく、AOC外のスパークリングワインの原料となる。コニャックほどの利益率は達成できなくとも、資金繰りの助けになる商品への多角化が課題となっている。