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中国の習国家主席、フランスを公式訪問

中国の習国家主席が5日、公式訪問のためフランスに到着した。国家主席は国賓待遇でフランスを訪問する。6日にはマクロン大統領が国家主席を大統領府に招き、首脳会談が行われた。

首脳会談には欧州委員会のフォンデアライエン委員長も列席し、経済問題と国際問題を中心に協議が行われた。欧州委は、中国製EVや太陽光パネル等に関するダンピング調査を実施中で、中国に対して公平な通商関係の構築を求めて圧力を強めている。中国側は首脳会談の機会に、フランス製のコニャックなど蒸留酒を対象とする追加関税の導入を見合わせると約束したが、目立った譲歩はこのくらいで、強気の構えを崩さなかった。中国側は、中国が過剰生産能力を抱えて価格攻勢をかけているというのは思い過ごしであって、世界のインフレ圧力の緩和に供給面から貢献している、との主張を繰り返した。ただし、国家主席は、電気通信と医療分野の公共調達市場へのアクセス加速を約束したが、その詳細は示さなかった。

中国側にとっては、米国との通商摩擦において欧州側からの「中立性」を取り付けるのが課題だったが、例えばEVをとってみても、欧州にとって需要を満たすために安価な中国産EVをなしで済ますわけにはゆくまいという強気の読みがあるのか、習国家主席は手土産を持たずに訪問した。

ウクライナ問題も協議の対象となった。中国側は、「新たな冷戦」を回避することを望むと言明。マクロン大統領によると、中国側は、ロシア軍への兵器の輸出をせず、デュアルユース製品の対ロ輸出を厳格に統制すると約束したという。パリ五輪期間中の停戦実現にむけて働きかけることでも合意した。

このほか、フランスと中国の間で、食品加工、金融、航空宇宙、自治体間協力などの分野で、18件の契約・合意が結ばれた。習国家主席は7日にピレネー地方を訪問し、2日間の公式訪問の日程を終える。

KSM News and Research