仏経済紙レゼコーは11月17日付で、フランスの付加価値税(VAT)税収が予定を下回っている件について報じた。政府が明らかにした最新の予測によると、VATの純税収は2025年に2100億ユーロとなる見込みで、これは前年の2110億ユーロをわずかに下回る水準となる。2025年には、経済成長率が0.7%、個人消費支出は0.5%増、インフレ率は1.1%前後と予想されており、その中でVAT税収が減少するのは奇妙なことである。これが財政に影響を及ぼすのは避けられない。VAT税収の半分程度は国の収入になり、残りはほぼ半々で社会保障会計と地方自治体に繰り入れられているが、国の税収で見込み額(2025年に970億ユーロ)を50億ユーロ、社会保障会計で見込み額(同560億ユーロ)を17億ユーロ下回ることになるという。
VAT税収が見込みを下回るのはこれで3年連続だといい、構造的な要因に由来している疑いがある。政府もこれを重大視しており、ドモンシャラン予算相は、政府部内の関係部署を総動員して原因の究明を行うと約束した。なお、2026年予算法案において、政府は50億ユーロのVAT税収増を予想しており、その実現の可否は財政収支に大きな影響を及ぼすことになる。
政府は現時点で、主に中国から届く小包のVAT逃れの影響を問題視。過少申告や、個人による受取を偽装した業者による輸入などで、VATの取りはぐれが生じているという見方で、仏政府は、小包に係る2ユーロの行政手数料の一律徴収と、欧州連合(EU)が決めた少額小包の免税措置廃止の効果に期待している。政府はまた、VAT脱税や申告漏れの影響も大きいとみており、こちらについては特に、電子請求書の導入義務化(2026年9月1日にすべての企業が受け取れる体制を整えることが義務、2027年9月1日には規模の小さい企業も電子請求書への完全移行が義務に)により、年間20億-30億ユーロ程度の取りはぐれが回避できると期待している。