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仏全軍総司令官の「子どもを失う」発言が物議に

フランス軍のマンドン全軍総司令官が11月19日にAMF(フランス市長協会)の年次総会で行った演説の内容が物議を醸している。マンドン司令官はこの中で、ロシアの脅威を念頭に置いて、「国を守る心の力が欠けている」と言明。国を守るために子どもを失うことを受け入れられない、防衛を優先することで経済的に苦しむことになるのを受け入れらない、ということのために国が傾くとしたら、そこにこそリスクがある、と述べて、列席した市町村長らに対して、市民たちにこの問題で話をして、人心を準備してほしいと訴えた。

マクロン大統領は、去る7月に国防戦略を見直し、「国家の心の再軍備」を目標の一つに設定。ロシアの脅威を、欧州、ひいてはフランスにとっての存立危機のリスクと見据えて、軍備増強の方針を打ち出している。マンドン全軍総司令官は去る9月1日に就任したが、マクロン大統領の防衛問題顧問を務めた側近でもあり、就任以来で、ロシアとの高強度紛争が発生するリスクについて人心を準備する発言をこれまでにも繰り返しており、去る10月の国会による聴聞では、3、4年後というスケールで紛争が生じるリスクがあると言明していた。今回の発言は、市町村長の会合という枠内において、より踏み込んだ表現で危機に言及したものであり、政界の一部から批難の声も上がっている。伝統的にロシア寄りの左翼政党LFIと極右RNは共に、厳しい調子で、総司令官の立場を踏み越えた好戦的で行き過ぎた発言だと非難。共和党(保守)にも、表現が適切ではないなどと発言を疑問視する声がある。ボートラン軍隊相は、国防に向けた精神を準備するのは正当だと、総司令官を擁護するコメントを発表した。

KSM News and Research