パリの老舗キャバレー「ムーラン・ルージュ」はこのほど、改装計画を巡り、詩人ジャック・プレベール(1977年没)と作家ボリス・ヴィアン(1959年没)の遺族らとの間で合意した。ムーラン・ルージュ側が、建物内にあった2人のアパートを保存することを約束した。
ムーラン・ルージュは、有名な赤い風車小屋のある建物の奥に位置する不動産を所有している。ここは、狂騒の時代に鳴らしたレビューの女王「ミスタンゲット」が出演の劇場があった場所で、ムーラン・ルージュはここを再び劇場として活用する改修計画を立案した。同じ建物に、プレベールとヴィアンがそれぞれ住んでいたアパートがあり、遺族がほぼ生前の状態のまま保存しているが、ムーラン・ルージュ側は、賃貸契約を打ち切ることを遺族側に通知したことがきっかけとなり、文化遺産保護を訴える著名人らが文化省にかけあうなどの騒ぎとなっていた。
ムーラン・ルージュのクレリコ支配人は、アパートを取り壊す計画はもとよりなかったと説明。アパートを保存し、今よりも訪問がしやすくなる形になるように、セキュリティ面などを含めて、「ミスタンゲット・ホール」のリニューアル計画と一体的に投資を行う計画であることを強調した。プレベールの遺族側もムーラン・ルージュ側の提案を歓迎。2026年1月以降に具体的な協議が開始されるという。