エプスタインとの交友関係で批判を受けているジャック・ラング元文化相(86歳)は2月7日、アラブ世界研究所(IMA)の所長職を辞することを明らかにした。ラング氏は、自身にまつわる疑いを全面的に否定した上で、アラブ世界研究所の良好な運営を守るため、退くことを決意したと説明した。
同研究所の監督官庁である外務省を率いるバロ外相は、ラング氏を8日に召喚して協議を行う予定だったが、ラング氏は先手を打って辞任を公表した。数日中に理事会の会合が開かれ、後任人事が決定される。アズレ元文化相(ユネスコ事務局長を2025年まで務める)が有力候補として取り沙汰されている。
ラング氏と娘のカロリーヌ・ラング氏は、6日の時点で「脱税資金洗浄」の疑いで司法当局が開始した予備捜査の対象となっており、辞任圧力に抗うのは難しい状況に追い込まれていた。ラング氏はミッテラン左派政権下で1980年代より活躍した大物政治家で、アラブ世界研究所の所長には2013年に就任し、現在は4期目を迎えていた。エプスタイン文書の追加公表を経て、事件の波紋は世界に広がっているが、ラング氏の場合は、2008年にエプスタインが性的暴行事件で有罪判決を受けた後に交友関係を結び、資金の融通を受けていたことが判明している。ラング氏は、自身が利益を受け取ったわけではなく、代償を求められてもいない、と釈明している。 アラブ世界研究所の所長としてのラング氏の業績については、展覧会のレベルアップなど著しい貢献があったとの評価もある。その一方で、ラング氏の人脈と、それに伴う寄付金集めなど資金力が特に物を言っていたとの評もあり、その意味で、ラング氏周りにエプスタインのような人物が姿を現すのは見えやすいところでもある。エプスタイン絡みでラング氏が司法当局から受けている追及においては、モロッコの別荘取引に絡む疑惑が含まれているといい、ラング氏は所長職を通じて、モロッコ寄りのロビー活動に熱心に取り組んでいたという事情通の証言もある。