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後発医薬品のビオガラン、インド企業による買収の可能性が浮上

仏製薬大手セルビエが後発医薬品子会社ビオガラン(Biogaran)の売却を検討している。外国企業による買収の可能性が浮上し、政治問題化している。

セルビエは、がん治療薬の開発などに経営資源を絞り込む方針で、昨年にビオガランの売却先探しに着手していた。インド同業Torrent PharmaceuticalsとAurobindo Pharmaを含む4社が買収を打診したとの報道がなされ、外資による買収の脅威が取り沙汰されるに至った。

政府は折しも、国内生産の振興を後押ししており、特に医薬品等の重要製品について、外国への依存から脱却するための生産還流の旗振りをしている。それだけに、ビオガランの外国企業への売却が決まれば、政府の推進する政策が失敗したという印象を与えかねない。ビオガランは従業員数が240人。国内に生産拠点はないが、国内の下請け企業40社程度と取引関係があり、関係する国内の間接雇用は8000人を超える。売却を経て国内の産業基盤が風化する恐れもある。

オードフランス地域圏のベルトラン議長(共和党)などは、政府に対して売却に反対するよう呼びかけている。レスキュール産業担当相も、外資による戦略的部門における投資案件の審査制度があり、買収禁止を含めた対応が可能だと言明し、産業基盤や雇用の維持などの約束を買収許可の条件として求める考えを示した。

KSM News and Research