固定資産税の「増税」構想が物議を招いている。
この件は、日刊紙ルパリジャンが11月18日付で報道して浮上した。政府は、固定資産税の算定の根拠を740万戸の住宅について見直すといい、対象住宅は平均で63ユーロの納税額増となる。税収は4億6600万ユーロの増加が見込める。
固定資産税においては、課税標準決定において、物件の設備状況に応じて、面積が加算され、従って納税額も増えることになる。考慮される「設備」としては、水道・電力への接続、浴槽・シャワー、トイレ、蛇口、暖房、冷房がある。政府は、これらの設備がないという扱いの物件があり、それらを自動的に改定して適正課税を行うという趣旨だと説明。隠れ増税などではないと強調している。2026年の徴税分から適用され、特に大きな引き上げとなる納税者には6月時点で個別に予告するという。
全体で、一戸建てでは25%、集合住宅では15%が改定の対象となる。地域によりばらつきが大きく、オートコルス県(コルシカ島)では60%を超える物件が改定の対象となり、同じくコルシカ島のコルスデュシュド県でも45%と高い。パリでは25%が対象となり、イゼール県では10%と少ない。
この改定については、実際に調査もせずに一方的に改定するのは問題だとする指摘もある。政府は、当該設備がない住宅の場合は、異議申し立てが可能だと説明している。政界の反応はおしなべて否定的で、極右RNや左翼LFIはもちろん、マクロン大統領派のルネサンス党を率いるアタル元首相もこれに反対する見解を表明した。増税に神経質となり、有権者に不人気な措置には強く反応する現在の政局を象徴する案件ではある。