ルーブル美術館で10月19日(日)朝に盗難事件が発生した。19世紀の王政・帝政期等の宝飾品8点が盗難された。犯人グループと盗品の行方は判明していない。
事件は19日9時30分頃に発生。犯人グループは4人組で、ルーブル美術館の南側、セーヌ川に面した「アポロンの回廊」の外側に、はしご車と大出力のスクーター(Tmax YAMAHA)で乗り付けた。はしご車を2階ベランダまで伸ばし、蛍光ベストを着て覆面をした2人が上り、窓ガラスを回転ノコギリで切断して侵入した。美術館は既に営業中だったが、2人は警備員を脅してショーケースを破壊し、宝飾品9点を奪って逃走した。警備員らは見学者の安全誘導を優先し、内務省直通の警報を作動させたが、犯人グループははしご車を捨てて、スクーターに乗って逃走した。市中の防犯カメラによると、スクーターは高速道路A6方面に逃走したが、その後の行方はつかめていない。全体で犯行に要した時間は7分に過ぎなかった。
盗難品のうち、第2帝政ウジェニー皇帝妃の冠(1354点の宝石をあしらう)は、路上に損傷した形で落ちているのが回収された。行方が分かっていない宝飾品は、7月王政のマリーアメリー王妃所蔵やナポレオン皇帝妃マリールイーズ所蔵などの装飾品で、その歴史的価値は評価すべくもないという。そのまま転売することはほぼ不可能で、コレクターによる注文を受けた犯行である可能性もある。宝石を単体にばらして売却するとなると価値は減じるが、そのようなことにはこだわらない犯罪団の犯行である可能性も否定できない。
最近では、パリ自然史博物館からの金塊盗難事件など、美術館・博物館を狙った大胆な盗難事件が相次いでいる。ルーブル美術館が盗難事件の標的になるのは、長い歴史の中でこれが4回目ともいわれ、有名なところでは、100年余り前に発生の「モナリザ」盗難事件が挙げられる。今回の盗難事件を政府による失態と非難する論調もある。ルーブル美術館は19日に全日、特別閉鎖され、20日も閉館が続いた。