会計検査院は1月7日、フランス・トラバイユ(ハローワーク)によるAI導入の業績評価報告書を公表した。公的機関によるAI導入の取り組みについて評価報告がなされるのはこれが初めて。
フランス・トラバイユは前身のポール・アンプロワ時代の2015年にAI導入に着手。他の公的機関に先んじて取り組みを進めた。会計検査院は、2017-25年の期間を対象にして、導入状況や成果について調べた。
フランス・トラバイユはこの時期に、主に2段階に渡りAI導入を進めた。2019-22年には、自前の開発力を確保しつつ、AIソリューションの組織的導入を進めた。2024年に開始された現行プログラムの下では、生成AIを含む新世代のAI導入に取り組んでいる。AI利用は職員の間で浸透しており、2025年3月に行われた調査では、職員の56%がAIを利用していると回答。うち、「毎日利用」は9%、「週に数回」は18%を占めている。
会計検査院は、導入された27種のソリューションの成果を検証。うち17種は放棄されたり、あまり定着しないなど不発に終わったが、履歴書の自動分析や、違法な求人票の自動検出をはじめとして、有用性の高いAIソリューションも多数実現した。職員の負担を軽減し、別の重要な職務への専念を可能にするという有用性が主だが、会計検査院は、行政サービスのユーザーの利便性の向上(受給可能な手当に関する情報検索など)に資するソリューションの開発にも注力するよう勧告した。
AI導入により得られた利益は、2017-25年の累積で1億2000万ユーロ(推計)に上り、投入された費用(2017-24年に9300万ユーロ、2025年には1500万ユーロの予定)を上回った。AI導入が職員の雇用を脅かすことはなく、配置転換を通じた人的リソースの最適化につながった。 会計検査院はその一方で、データの更新が不十分であるなど、データ品質のためにAIの利益が最大化できていないことを問題点として指摘。個人情報の保護の枠組みを強化する必要も指摘し、ガバナンス面での改善も勧告した。