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会計検査院、社会保障会計の赤字増大を懸念

会計検査院は11月3日、2026年社会保障会計予算法案に関する検討結果を公表した。社会保障会計の赤字が増大するリスクを指摘した。

社会保障会計予算法案は、10月末に下院社会問題委員会における審議が始まっている。会計検査院は政府原案をもとにして検討を行った。政府原案によると、社会保障会計(老齢連帯基金FSV含む)の赤字額は2026年に230億ユーロに上る。赤字額は、2024年と比べて77億ユーロの増加を記録することになる。全体として、収入が2.5%増の見込みであるのに対して、支出は3.6%の増加を記録し、赤字は拡大する傾向をたどっている。会計検査院は、政府原案に盛り込まれた補正措置が採択されなかった場合、赤字額が287億ユーロまで膨張する可能性があると指摘。予算法案には、総額110億ユーロの補正措置(支出面で90億ユーロ、収入純増分が20億ユーロ)が盛り込まれているが、会計検査院は、金額が多い少数の措置により構成されており、実現可能性という点で疑念があると指摘。具体的には、年金・社会給付の給付額の引き上げ凍結(25億ユーロ)、医薬品の自己負担2倍増(23億ユーロ)などの措置を挙げて、コンセンサスが得られていないと指摘した。実際、ルコルニュ首相は、数日前の時点で、年金・社会給付の給付額引き上げ凍結を見送る方針を明らかにしており、代替の財源が確保されないままで譲歩を重ねることで、社会保障会計の収支が悪化するリスクは大きい。

KSM News and Research