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パリ同時多発テロから10年、テロの脅威は去らず

パリ同時多発テロが発生してから、11月13日でちょうど1年が経過した。同日にはゆかりの場所で一連の慰霊式典が挙行された。

パリ同時テロでは132人が死亡し、350人が負傷した。13日には、発端の自爆テロがあったパリ北郊の競技場「スタッドドフランス」前、パリ10区で機関銃掃射の攻撃を受けた一連の飲食店前、そして、立てこもり・人質事件に発展したコンサート会場「バタクラン」(90人が死亡)前で式典が順次行われた。また、パリ市市役所脇に整備された慰霊モニュメント「2015年11月13日の庭」の除幕式が行われた。植物と慰霊碑を庭の形に展開し、市民が憩える生命の場所にするというコンセプトが採用された。

当局の関係者らはこの機会に、テロの脅威は変容したが去ってはいないことを強調。最近でも、パリ同時テロに参加した唯一の生き残りであるアブデスラム受刑者の交際相手だったマエバ・B容疑者が、テロ計画容疑にて逮捕されており、若い世代がイスラム原理主義に引き入れられる事案も目立っているという。イスラム原理主義は、テロ対策全国管区検事局(PNAT)の進行中の案件540件のうち86%を占めており最も多いが、極右系のテロも脅威を強める傾向にある。脅威のあり方も変化している。10年前は、外国から送り込まれたグループが犯行の核になっていたが、その後は、いわば遠隔操作で国内にいる者に指令を与えるという形になった。それが現在ではさらに変化し、外国とは直接の関係のない者が自ら過激化して犯行に及ぶという形が主流になっている。それと関連して、現在は、外国国家が、外国にいる自国の反体制派を攻撃したり、標的国に圧力や揺さぶりをかける目的で犯行を計画するような状況も目立っているという。

KSM News and Research