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JAL、フランスでのおもてなし講座とは?


パリ空港所、おもてなしチームの皆さん。(左から、DUMONT アナイスさん、TIAR わか子さん、GUEZENNEC 敏枝さん) 有志で集まり、通常業務をこなしながらおもてなしの輪を広げる活動も行っていこうという志の高いメンバーで構成されています。

質の高いサービスで知られるJALグループ。そんなJALがフランスでおもてなし講座を開催しているということで、この度JALパリ空港所にてパリエトワ編集部がお話を伺ってきました。JALが提案するおもてなし講座とはどのようなものなのでしょうか?


JALパリ空港所「おもてなしチーム」結成

── おもてなし講座の発足背景を教えてください。

敏枝さん:JALは航空業務だけではなく社会貢献にも力を入れておりまして、子どもたち向けに環境講座や折り紙ヒコーキ教室を開いたり、大人向けに礼儀作法に関する講座を開いております。

また、多くのJAL社員が接遇マナー、気持ちの表現の仕方やマインドセッティングのトレーニングを受けており、このスキルを社外の方々にもお伝えしていきたいということで始まったのがおもてなし講座です。

2020年に開催される東京オリンピック/パラリンピックに向けて「日本のおもてなし」というものへの関心が高まりつつある中、外部の企業や学校から「JALでおもてなしの教育をしているなら、それを是非うちでも教えてほしい」という声を頂くようになり、日本から始まった外部への講座がついに2018年、フランスでも開かれるようになりました。

大変ご好評を頂いており、当初は本社からスタッフを派遣していたのですが、お客様と多くの触れ合いの場を実際に持つパリ空港所スタッフが主導となり「おもてなしチーム」が結成されたのを機に今後はフランス国内の企業や学校向けに更に幅広く講習を開いていく予定です。

──具体的に何を学べるのでしょうか?

敏枝さん:挨拶 / 立ち居振る舞い / 身だしなみ / 表情 この基本的な4つのポイントを軸に、具体例を挙げて重要性を学んで頂きます。
自分ではしっかり出来ているつもりでも他人から見るとそうではない場合もあるので、隣の人と笑顔のチェックをしあったり、状況を設定した上でロールプレイングをして頂いたりなど実践も交えて練習をし、その後実際にどう感じたのかなどのフィードバックをお互いに共有してもらうことにより理解を深めて頂くという流れです。また挨拶をする上での正しい敬語は重要ですので、役立つフレーズといった実践的なポイントも要所で押さえていきます。
勿論、受講される方々からのご要望に合わせて適宜資料や講座内容を組み立てております。

──日本独自のマナーは、フランス人からすれば新鮮ですよね。

わか子さん:そうですね。日本人なら当たり前に行っていることも、フランスでは当たり前ではないこともあります。 おじぎの三段階(会釈、敬礼、最敬礼)や、ものの渡し方、受け取り方の所作、間をおく話し方と聞く姿勢など、フランスでの生活で参考にしていただけることは沢山あると思います。
フランス人の委託先会社のスタッフから、「学んだことを日常で実践したら褒められた」という感想を頂いたこともありました。 我々としましても、日本の礼儀作法をフランス人に完璧に真似して欲しいというのではなく、「人からどう見られているのか」「どうすればより良い印象を与えられるのか」など考え、日常生活や仕事に役立てるきっかけになってくれたら嬉しいと思っております。

フランス人から見る日本のおもてなし

──パリおもてなしチーム唯一のフランス人、アナイスさんから見て日本のおもてなしはどうでしょう?

アナイスさん:JALに入社して日本のおもてなしという文化を知り、自分のサービスによってお客様に満足して頂けるということに喜びを感じております。これからは、自分が教えてもらったことを搭乗カウンターで働く委託先会社のフランス人にも伝えていき、JALをご利用になられるお客様の満足度を高めていきたいです。

──おもてなしチームに日本語が堪能のアナイスさんがいることによって、日本人的視点とフランス人から見た視点、両方の観点から客観的に説明できる人がいるのでとても心強いですね。

アナイスさん:例えば、チェックインカウンタ-のフランス人スタッフが「聞かれた質問にきちんと答えたのに、今の日本人のお客様はなんで不満そうだったのだろう?」と疑問に思う状況が生まれることがあります。そういうときに、それは何故だったのかを客観的視点から説明する必要がありますね。 表情がいけなかったのか?話し方が直接的過ぎたか?言葉遣いやジェスチャーが粗暴だったのか?様々なケースが考えられます。

──その事例のように、ただ挨拶や礼儀作法を覚えてもらうだけではなく、「相手の立場になって考えてみるメンタリティ」も教えてくれる部分がおもてなし講座の魅力であり、日本語を学ぶフランス人のクラスをはじめとした教育機関から講演依頼が来る理由でもあるのでしょうね。

敏枝さん:我々は「こうあるべき」という答えを教えるために講座を行っている訳ではありません。コミュニケーションやサービスに正解というものは無いので、この講座を受け、皆さんに自分のあり方について考えてもらうことが大切だと思っております。

例えば、挨拶で言えばフランス人のほうが挨拶する場面でのやりとりに長けています。フランス式の方が良ければそれはそのまま活かして頂き、自分にプラスになる部分だけ吸収して頂ければ良いですね。 

広がるおもてなしの輪

──今後の展望を教えてください。

これからどんどん皆さんにおもてなしについて興味を持って頂き、日系企業だけでなくフランスの企業にも広めていけたら良いなと思っております。 また、JAL社内で講座を開き意見を交換し合うことによって、講座の質をより高めていくとともに、会社内部での横の繋がりも強めていきたいですね。「社内の空気が良ければ、それがサービスにも表れる」と思うので、まずはパリ支店内部からおもてなしの輪を広げていきたいです。 


ただ単にマナー講座を押し付けるのではなく、あくまで考えるきっかけになれたら良いと話すJALおもてなしチームの皆さん。日頃お仕事の中で当たり前のようにおもてなしを実践されている皆さんからは、謙虚さや清廉さなど日本の古き良き美しさが感じ取られ、自分もこうありたいと思わせる魅力がありました。

「真のおもてなし」とは、最初は形から入ったとしても最終的には真心の表現であり、おもてなしマインドや作法を学ぶことによって、実生活で真心を自然にアウトプット出来るようになりたいものです。

JALおもてなし講座
所要時間は約一時間。
日本語/フランス語対応が可能です。
詳細やご質問はservice.paris@jal.comまでお願いします。

この記事の執筆者

エトワ編集部

ET TOI(エトワ)編集部です。皆様のお役に立つ記事を執筆します。

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