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サステナブルっていったい何? 第一回 サステナブルとフランス

 近年日本でもよく聞くようになった単語「サステナブル」、「SDGs」。フランスでもニュースやSNSなどのメディア、企業広告、国や地域の政策でよく目にしたり耳にしたりします。フランス語では「durable:継続可能な」という形容詞が使用されます。また「サステナブル(sustainable)」と使われている単語は「développement durable:持続可能な発展(開発)」にあたります。
 ET TOIでは「サステナブルとフランス」をテーマにいくつかの記事を紹介していきます。今回は、サステナブルな活動をしているフランス企業と、フランスでサステナブルな活動をするにあたって欠かすことのできない存在「ADEME」について紹介します。


「サステナブル」、「SDGs」とは

 サステナビリティとSDGs(Sustainable Development  Goals)は、今日世界が直面する環境、社会、経済の課題を解決することを目的とした関連する概念です。

 サステナビリティは、「現在の世代のニーズを満たすことができるが、将来の世代が自分自身のニーズを満たす能力に支障をきたさない」ことを指します。これは、経済成長、社会の福祉、環境保護の相互関連を考慮する包括的な発展を意味します。

 SDGsは、「グローバル・ゴール」とも呼ばれ、2015年に国連によって採択された17のゴールを示した国際目標です。17の持続可能な開発目標は、169のSDGsターゲットのリスト※1で定義されており、これらの目標に向けた進捗状況は、232の独自の指標によって追跡されることが合意されています。

 これらのゴールは、貧困、不平等、気候変動、環境劣化などのさまざまなグローバル課題を解決することにより、すべての人々のためのよりよい、より持続可能な未来の設計図を提供します。

※1 169のSDGsターゲットのリスト(英語)

PDF : Global indicator framework for the Sustainable Development Goals and targets of the 2030 Agenda for Sustainable Development


 要約すると、サステナビリティとSDGsは、よりよい、より持続可能な未来を創造する同じ目的を持っていますが、前者はより広い概念であり、後者はサステナビリティを達成するための一連の目標とターゲットです。


「サステナブル」なフランス企業

 カナダに本拠を置き、持続可能な経済の促進に関する調査やレポートで有名な企業「Corporate Knights」による世界で最もサステナブルな企業のランキング「グローバル100」※2によると、下記のフランス企業がランクインしていました。

・Kering Paris
Keringは、高級ブランドのグループ企業です。Keringは、ファッション、ライフスタイル、スポーツウェアなどのカテゴリーに属する数多くのブランドを所有しており、主なブランドに「Gucci」、「Saint Laurent」、「Bottega Veneta」などがあります。2007年より自社にエグゼクティブ・コミッティーの一部門として、CEOへ直接報告を行うサステナビリティ部門を設置しました。天然資源の保全とKeringの事業発展を両立するための環境損益計算(EP&L)を取り入れたり、サステナブルな原材料を使用してコレクションを作成したりして、サステナブルに貢献しています。

・Sanofi Paris
Sanofiは世界的に有名な製薬企業で、さまざまな疾患に対する薬剤の開発・製造・販売を行っています。該当する疾患には、糖尿病、心血管疾患、がん、アレルギー、感染症などが含まれます。「CO2削減・節電への取り組み」、「営業用車両における二酸化炭素排出量削減の取り組み」、「水使用の効率化と医薬品残留物の削減」などを実施し、サステナブルに貢献しています。

・BNP Paribas Paris
BNP Paribasは、世界的な金融サービス企業です。銀行業務、資産管理、保険サービスなどの多様なサービスを提供しています。顧客は、個人から法人、政府などが含まれます。非在来型の石油およびガスに関連するプロジェクトや、非在来型の石油およびガスを専門とする企業に資金を提供せず、アマゾンと北極圏の特に影響を受けやすい生態系での融資制限を強化したり、2025 年までに「森林破壊ゼロ」戦略を実施するなどして、サステナブルに貢献しています。

・Dassault Systèmes Vélizy-Villacoublay
Dassault Systèmesは、フランスのソフトウェア企業です。特に、プロダクトライフサイクルマネジメント (PLM)、三次元デザイン、製造技術などの分野に特化しています。IBMと提携し機器のメンテナンス、アプリケーションパフォーマンス管理、気候リスク管理のため持続可能性の結果を加速する機能を提供するなどしてサステナブルに貢献しています。

 ちなみに日本では「積水化学工業株式会社」、「エーザイ株式会社」、「コニカミノルタ株式会社」の3企業がランクインしていました。

※2 参考サイト「The 100 most sustainable corporations of 2022」
https://www.corporateknights.com/rankings/global-100-rankings/2022-global-100-rankings/100-most-sustainable-corporations-of-2022/


フランスのサステナブルな活動には欠かせない「ADEME」とは

 ADEME (Agence de l’Environnement et de la Maîtrise de l’Energie)は、フランスの環境省に属する独立機関で、環境保護とエネルギー管理に関する問題に対処するための調査や実施支援を行っています。
 具体的には、再生可能エネルギーの普及、エネルギー効率の改善、廃棄物処理の最適化、持続可能な交通システムの推進などに取り組んでいます。企業、自治体、個人など、さまざまな分野の人々に対し、環境保護と持続可能なエネルギー管理についての情報提供やコンサルティング、助成金の提供などを行っています。 
 また、フランス政府が定めた環境政策の実施を支援するとともに、国際的な環境問題に関する調査・研究や政策提言も行っています。
ADEME https://www.ademe.fr/

ADEMEのサービス
企業・研究機関・博士号の学生、コミュニティ、教育関係者それぞれに向けてADEMEを利用してどのように資金援助の恩恵を受けることができるか、どのような活動ができるかを紹介しています。また個人に向けてはよりエコロジカルな生活を送るにあたってのアドバイスなどが掲載されています。
https://agirpourlatransition.ademe.fr/

ADEMEのニュース
毎月「ADEME Magazine」と称し、サステナブルに関するニュースや特集を組んで雑誌のような形で紹介しています。「ADEME Magazine」はPDFとしてダウンロードも可能で、オフライン状態でも読むことができます。
https://infos.ademe.fr/numeros-magazine/

ADEMEの出版物
サステナブルな活動を報告する読み物から、「環境に優しいクリスマスを開催するには」、「食品や資源ロスのレシピ」などの個人単位で実践できる読み物までPDFでダウンロードできるサイトです。上記で紹介した「ADEME Magazine」もこちらでダウンロード可能です。https://librairie.ademe.fr/

この記事の執筆者

エトワ編集部

ET TOI(エトワ)編集部です。皆様のお役に立つ記事を執筆します。

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